5月になってクラスにも慣れてきたころ。
帰りのホームルームがおわって、帰宅の準備をしているとき。
「なぁ門の前、すっげえ高級車止まってんだけど」
「ほんとだ。金持ちがうちの学校に何の用だろーな?」
窓の外を見ながら話すクラスメイトの声が耳に入ってきた。
高級車?
そう聞くと、水沢くんちのお迎えの車くらいしか思い浮かばない。
けど、最近は私が一緒に乗ることもあるからバレないように裏門の方に停めてるから違うかな……?
そう思い窓から正門の方を見てみると、たしかにそこには黒い高級車が停まっていた。
すると。
校舎からでてきた水沢くんがその高級車のほうへと足を進めていくのが見えた。
そして、水沢くんが車の前で停まると中から40代くらいの男の人がでてきて、車のドアを開ける。
「あれ、水沢じゃん」
「見た目も中身も良くて、金持ちってアイツ完璧かよこえー」
なんて、クラスメイトたちが水沢くんのことを話題にしていた。