キミの主導権、僕のもの





深々と頭を下げると、「そんな緊張しなくても大丈夫だよ」と水沢くんのお父さんが笑いながら言う。




そして、水沢くんのお父さんがソファから立ち上がり、わたしの目の前にきた。




近くでみると、さらにイケメンだ……。




しかも大人の色気があって、いろんな意味でドキドキしてしまう。




こんなかっこいい人が目の前にいて、緊張しない方が無理です……!




「そういえば、名前教えてくれるかな。わたしは、水沢和人です」




ニコリとほほえみながら自己紹介をしてくれる水沢くんのお父さんに、ドキッとしてしまい。





「の、ののの野上ゆ、ゆ柚子です……! あの、これよかったら食べてくださいっ」




か、噛んだ。




完全に噛んだ。




しかもケーキの入った箱を持つ手は緊張のあまりガタガタと震えている。




しょっぱなから、ダメダメだ私……!