キミの主導権、僕のもの




そして、今に至る。




橘さんが迎えに来てくれて、そしてお父さんの好きなものを聞き、おいしいと有名なケーキ屋さんに寄ってもらった。




洋服も橘さんに確認してもらったし。




問題はない……ハズ。




「橘さん、私、ほんとうに大丈夫ですか!?」



「大丈夫ですよ。……あ、着きました」



「え、も、もうですか? 待ってください、ちょっと深呼吸を……」




最後に深呼吸を2、3回繰り返して。





いざ、水沢家の中へ。




あ、あれ。




水沢くんの家、広くなってない?




私の気のせい? 錯覚?




緊張しすぎておかしくなったらしい、私の頭。




「なにキョロキョロしてるの。行くよ」




いつもより広く感じる水沢家を見渡していると、いつの間にか水沢くんがいた。




そして手を引かれる。