キミの主導権、僕のもの





『父さんに会うの、イヤ?』



『そうじゃなくて……。いろいろと私の中の水沢くんのお父さんから言われそうな言葉が私の胸をえぐってきて……』



『キミは一体どんな仕打ちを受けると思ってるわけ?』




どうしよう。




緊張がマックスを超えすぎて、負のループにはまってしまいそう。




だってだって、お父さんだよ?




私、絶対に醜態をさらしてしまいそう。




それで息子との交際は認めない、ってなるんだ……。




そして無理やり水沢くんとお別れさせられて……





『僕は、父さんにキミのことちゃんと紹介したいと思ってるけど』




と、不幸な想像をめぐらせているとき。




水沢くんが、そう口にした。




『だから明日来てほしいんだけど。……ダメ?』



『……っ』




え、な、なに今の……。




『ダメ?』って言ったときの声はまるで、小さい子がおねだりするようなとってもかわいい声で。




ズルいなぁ、って思いながらも私は水沢くんのお願いに負けて「ハイ」と言ってしまったのだった。