「あ、あの橘さん。ほ、本当に手土産はこれで大丈夫でしょうか……っ」
「はい。和人様はそちらのお店のケーキが好きですので、大丈夫ですよ」
「は、はい。……あ! 私の服、ヘンじゃないですか!? タグとかついてないですか!?」
「柚子様のご自宅の前で確認されましたし、ついてませんでしたよ」
「よかったぁ。あと、顔にソースとかついてません!?」
「ついてないですよ柚子様、そんなに緊張なさらなくても……」
はは、と少し困ったように笑いながらハンドルを右に切る橘さん。
「そんなの無理です~~!」
そして後部座席で首をブンブンとふりながら今にも泣きそうになる私。
水沢くんと水族館デートをして泊まることになった日から1週間後。
今日は水沢くんの家にお邪魔するべく、橘さんの車で向かっている。