キミの主導権、僕のもの




ドライヤーの音とともに、水沢くんの手が私の髪に触れる。




美容室にいったときもそうだけど……。




人に髪を触られると気持ちいいというか、眠気を誘うというか。




髪に触れる水沢くんの手が優しくて、力が抜ける……。




水沢くん、目を合わせようとしなかったと思ったら、こうやって髪乾かしてくれたり。




強引なところはいつも通りだけど、なにか違うような。




私の気のせいかな……?




そう思っていると、カチッと音がしてドライヤーの音が消える。




それと同時に、水沢くんの手も離れた。




「はい、おわり」



「あ、ありがとう」




少しだけぎこちない雰囲気が流れる。




ど、どうしようこれから。




話すといっても、すぐに会話が切れちゃいそうだし。




と、とりあえず、テレビでもつけてこのぎこちない雰囲気を変えられれば。