「前むいて。乾かすから」
「え!?」
カチッとそばにあったプラグにコンセントをさすと、そう言われる。
か、乾かすって……。
水沢くんが?
「で、でも私より先に水沢くんが最初に……」
「僕はもう乾かした」
そういう水沢くんの髪は、たしかにきれいに乾いている。
そのときにミルクティー色の髪から、私と同じシャンプーの香りがして。
それにドキッとしてしまう。
さっき緊張することない、って思ったばかりなのに……!
これは絶対自分で乾かしたほうが平常心を取り戻せる気がする。
「でも私、自分で……」
「さっきから前向けって言ってるよね、バカちん」
「……はい」
水沢くんからドライヤーを借りようと手を伸ばすが、そんな命令口調+暴言と笑顔で私は素直に従うしかなくなってしまった。


