キミの主導権、僕のもの




そう思っていると、アナウンスが流れ始める。




『当駅をご利用のみなさまにお知らせいたします。19時ごろに〇×駅で発生した人身事故により、運転を見合わせております。運転再開の見込みはまだたっていなく……』




「じ、人身事故……」




しかも、運転再開の見込みはたっていないって。




「ど、どうしよう水沢くん」



「運転再開するとしても、日付こえそうだね。これは」




水沢くんは冷静に言いながら、ズボンのポケットからスマホを取り出した。




そしてだれかに電話をかけはじめる。




「もしもし、橘? ちょっと頼みたいんだけど。〇〇駅の近くのビジネスホテル、1泊とってほしいんだけど」




相手は橘さんらしい。




というかビジネスホテルってもしかして……。




「野上さんも一緒。部屋はひとつで構わないから。よろしく」



「え!?」




わ、私も……!?




そ、それって私もそのホテルに泊まるってこと!?




猛スピードで話がすすんでいって、ついていけない。