「水沢くん! 人に見られて……!」
「そんなの放っておきなよ。ほら、行くよ」
そんな他人事かのように……!
水沢くんに手を引かれて、次の水槽へと移動させられる。
当の本人はふわふわと水槽のなかで浮くクラゲを見ながら「これに刺されると痛いって本当なのかな」なんて言ってる。
キスしたことを、気にしてる素振りもない。
ま、また私だけが振りまわされて……。
水沢くんは私を振り回す天才だと思う。
さっきまではきれいに泳ぐ魚に夢中だったけど、今は水沢くんのことしか考えられない。
うぅ、付き合ってけっこうたつのに。
日に日にイジワルさが増すというか、ドキドキさせるのが上手な水沢くんに悔しい気持ちがある。
でも、うれしい気持ちもあるわけで。
む、矛盾。
私にも水沢くんを振りまわせる日がくるのだろうか。
なんて思っていると、
「キミが僕を振りまわそうとするなら、その10倍振りまわすからね」
「えっ?」
急にそんなことを言われて思わず驚く。


