キミの主導権、僕のもの





魚ではなく私を見る水沢くんに、首を傾げて疑問をうったえる。




「不思議そうな顔してるね」



「だ、だってジッと見てくるから」




ハッ。




も、もしかしてやっぱりメイクが合ってなかったとか?




ふだん、あんまりメイクしないから顔と合ってなかったのかな!?




で、でもさっきそんなこと言われなかったけど……。




なんでだろう、と思っていると水沢くんの表情がやわらぐ。




「楽しそうだな、って思って見てただけだよ」



「え?」



「キミ、すごく楽しそうにしてるから」



「……そ、それは」




もちろん、楽しい。




だってこうやってふたりでお出かけするの何気にはじめてだし。




水沢くんのおうちでまったり過ごすのも楽しいけど、こうして一緒に外出するのも楽しい……というか、うれしい。