キミの主導権、僕のもの





なんて思ったのも束の間。




「水沢くん! みて! かわいい!」




水族館に入館すると、いつもとは違う、まるで海の中にいるような気分になってしまって。




私はついついテンションがあがってしまう。




きれいだなぁ……。




「水沢くん、あの魚って映画にでてるやつじゃない?」




ゆっくりと見る水槽を移動していくと、見覚えのあるオレンジと黒のしましまの魚。




水沢くんをツンツン、とつついて指をさすと「クマノミね」と正される。




「クマノミっていうんだ。あ、本当だ。ここに正式名称書いてあるね」



「……」



「……?」




水槽の横に魚の正式名称が記入されているプレートがあって、それを見ていると横から視線が。




視線を感じるほうを向くと、もちろん水沢くんと目が合うわけで。




な、なんでしょうか……?