今ここで私が水沢くんに声をかけたら。
「え?あの子が彼女?ないわ〜」と思われるに違いない。
こ、こんな平々凡々が彼女でごめんなさい……!
ここはひとまず、もう少し時間を置いてから声をかけた方が……。
「キミ、なにしてるの」
「……え」
「もう時間、すぎてるけど?」
「……」
どうするべきか考えていたら、目の前にはいつの間にか水沢くんがいて。
笑顔で私を見下ろしていた。
笑顔がまぶしい……。
「ほら〜、やっぱ彼女いたじゃん」
「ほんとだ〜。いいなぁ、あの子」
さっきのふたり組の女の子たちの会話が聞こえてくる。
あ、あれ?
聞こえてきたのは残念そうな声だけで、私が彼女であることに批判の言葉はなかった。
学校の女子だったら、血祭り確実なのに……。
うちの学校の女子が特殊なのかな?
うーーん……。
なんて考えていると、水沢くんのきれいな顔が目の前にきて目が合う。


