キミの主導権、僕のもの





「それにさ、僕けっこう落ち込んでるんだけど。キミと同じクラスになれなくて」



「うっ」



「そんな僕をなぐさめるつもりで、1回くらい名前で呼んでくれてもよくない? ね? 柚子」



「〜〜〜っ」




ずるい。




本当にずるい。




いつも水沢くんのほうが、なかなか私の名前なんて呼んでくれないのに……。




こういうとき、サラッと呼んじゃうなんて。




これは完全に私の負けだ。




か、確信犯め……。




なんて思いつつ、逆らえない私は相当水沢くんに弱い。




もう、覚悟を決めるしかないのだ。




「け……」




か、覚悟を……。




「け、けい……」




決めるしか……。




「〜〜っやっぱり無理ですごめんなさい!」




やるしかないと思っていてもそう簡単にはできないもので。