youth diaryーぼくらの物語ー




部屋に入るとみんなそれぞれの苦手教科を出して待っていた。


「遅いよ花奏ちゃん」


「ごめんごめん」


謝りながら空いてる席に座る。


「…颯斗となにやってた?」


隣に座ってる吏紗が小さな声で聞いてくるのをチラっと見て「内緒」とからかうと、吏紗は舌打ちした。


その様子にクスクス笑って私も一応勉強道具を机に出す。


「…ね、ねぇ、九条くんはなにが得意なの?」


吏紗の隣に座る真子が可愛らしい声で聞くのをぼんやり眺めながらあることに気づいた。


あ、私ここに座って良いのか?


なぜか、すごく真子にたいして申し訳なく感じて、私は宮田くんの肩を押した。


「イテ…イテ、なんだよ黒瀬。押すなよ」


「狭いもっとあっち行け」


宮田くんが有理のことが好きなのはなんとなく気づいてたし、てか分かり易いんだよこの人。


有理もなぜか横にずるし…君はずらなくて良いのよ高野さん。


颯斗は真子の問題集を見ながら一人でブツブツ言っていた。


中3のアンタにわかるわけねーだろ…。


「俺は数学が得意だな」


「へー…アンタ数学が得意なの?」


吏紗の得意教科に驚くと、吏紗はドや顔で私を見た。


「俺も数学得意!」


宮田くんも元気良くそう言った。


「え、意外…」


有理にドや顔をする宮田くんは華麗にシカトされた。


「オマエは何が得意なの?」


「私?私は英語と生物と現代文かな」


私がそう言うと吏紗はびっくりした表情をしていた。


「…なに」


「意外だな」


「うるさい」


「原田と高野は何が得意なの?」


「私は英語かな」


「私は化学」


吏紗の質問に真子と有理はそれぞれ答えた。