「あ、の…私、急いでるから……」



「嘘はダメだよ、結菜ちゃん。」



どんどん俊くんの顔が近づいてくる。



「や、めっ……!」



恐怖で目をつぶると、



「おい、なにしてんだよ。」



と低い声が聞こえた。


声だけでわかる。



「七瀬君…っ!」



すると俊くんはジリジリ後ずさりして逃げて行った。



「おまえ、なにしてんだよ。こんなところで。てか、いつもの強気はどうした。」



「俊くんね、いい人だったの。
でも最後変な風になっちゃって……」



私がそう言うと七瀬君はため息をついた。