「失礼します」




圭ちゃんは軽く田澤くんに礼をして私の手を引っ張って歩き出した。





「圭ちゃん…っ」



圭ちゃんはなんだかすごく怒っているみたいで




「圭ちゃんっ!」




早足で、黙ってて




「圭ちゃんってば!!」





私が急に立ち止まると、圭ちゃんもハッとしたように足を止めた。




「…圭ちゃん、どうしたの…?」





どうしてそんなに悲しそうな顔するの?



どうしてそんなに悔しそうなの?




私も、悲しくなるよ…





ギュッ…




夏の夜の路地で圭ちゃんに強く抱きしめられる。