「…圭、ちゃん…しん…どい、の?」
そう言って私は整った顔の圭ちゃんの頬に手を当てる。
温かい。
「しんどくないよ」
まだ私にまたがったまま、
少し笑いながら、そういう圭ちゃん。
「…顔…赤、いよ…?」
「…しんどくないよ、大丈夫。」
わかってる。
きっと、圭ちゃんは自分がしんどくても
言ったりしない。
いつだってそう。
小さな頃、私と2人で保育園で夜中まで待っていたとき
大泣きする私の横で、どんなに不安でもずっと笑いながら私を慰めてくれた圭ちゃんを
風邪を引いたとき、どんなに心細くても
お母さんに会いたいって言わなかった圭ちゃんを
お父さんが亡くなった時
どんなに辛くても泣かなかった圭ちゃんを
幼馴染の私は、
私だけは、知ってるもん。


