「ん”ん”…………わ、わかんない…」



「んー、どういったら分かるかな。Yを微分するってことは…」



大問①で5回目の説明です。



テスト前の土曜、数学がヤバイらしい唯は俺の家に来た。



唯は1度分かったら飲み込み早いけど、


それまでが問題なんだよね。


小さい時から、変わんない。


「…ごめんね…圭ちゃん…」





「ん?」



「…せっかく…教えてもらってるのに

…唯、…こんなので…」



俺は泣き出した唯の頭を撫でる。




「謝らなくていいよ。泣かなくていいから。」


そう、本当に泣かなくていい。


そのかわいい泣き顔が

無駄に俺の欲情を掻き立ててしまう故。




つまりヤバいのは唯の数学の試験ではなく、


俺の理性のリミットなのだ。



親のいない男の家に、のこのこと上がり込んで来た唯は


今までとは訳が違う。


唯にとっては、同じなのかもしれないけど。


唯はあまり、意識もしないで来たのかもしれないけど。



俺への配慮はどうしたものか。



1人で理性の門出と戦う俺は、今までの関係と変わんないじゃん。