「あの、海崎くんっ」
教室を出ると、女の子に呼び止められて立ち止まった。
「ん?」
首を傾げると、顔を真っ赤にしながら目を泳がせる。
「…あ、えー…っと…」
思うように言葉が出てこないのか、何度か俺をチラッと見ながらまたうつむいた。
「…す…好き!海崎くん!」
そう思い切って顔を上げたあと、またすぐにうつむいた。
唯は…
こんな顔で俺に好きって言ったことが、あったかな。
そんなこと思い出せもしないのに、俺の思いを伝えろだって
それが俺はきっと怖い。
唯の気持ちが逆方向かも知れないということを確認しないまま
俺が唯に恋心を明かすのが。
って、俺保守的すぎ。
この前も山崎に言われた。
「お前、唯ちゃんのことに関して消極的すぎ。自信なさすぎ。」
この子は、俺の気持ち知る前に
いや、逆の意味で知ってたとしてもこうやっていいにくるのに。
…って、やめろ俺
こんな時に唯のこと思うのは違う。
不謹慎というか失礼だ。
「ごめん、気持ちは嬉しいんだけど…ー
「相楽さんっ……と…」
「え?」
「別れた、んだよね…?」
女の子はそう言って遠慮がちに、俺の顔を覗いた。


