「キツいこと、言うつもりじゃなかった。

大丈夫だった?電車で。」




痴漢にあったこと、心配してくれてるんだ。


私も謝らなきゃ。


「…私の方こそごめんなさい。

心配して言ってくれたのに、走って逃げちゃって…



…助けてくれて、嬉しかった…」



私は顔を上げて、北野くんを見上げた。




「…ありがとう…っ」



そう言うと、北野くんは少し笑って



「ん」




と頷いて、廊下に出て行った。



北野くんはどんな思いなのかな。


…私と、おんなじ?



好きだけど、相手は振り向いてくれなくて



もしかして私の気持ち、誰よりも分かってくれているのかな…