「…ごめんね…私のせいでっ…」





机に突っ伏す俺に、相楽の申し訳なさそうな声が聞こえる。




「…別に…相楽のせいじゃないよ」





こうやって、女子とキスしたことは何度かある。


唯に薬を口移ししたこと、それが仮にもキスと言っていいなら



あれほど心臓が崩壊しそうで、あれほど愛しかったキスはないけど。





不本意。




そんなこと言ったら全部悲しくまとまっちゃう。


女子の気持ちも考えずに。



でも全部そうだ。





泣きながら「せめてキスして」と抱きしめられたから。


「なんで分かってくれないの」とネクタイを引っ張られて口づけされたから。



「唯ちゃんへの思いなんて、叶わないよ」とそう言われてシャツのボタンを外されたから。





だから、時間の問題だったんだよきっと。



たまたま、唯に見られたのが今日だっただけで


たまたま見られたキスが、相楽とだっただけで




「…相楽は、悪くないよ」