「要らな、」
「だめよ。あなた、見たところ何も食べていなかったみたいだし、それじゃあ栄養失調になっちゃうわ」
白の上に置かれた赤い梅干しをかき混ぜ、そのまま私に手渡す。
確かに何も食べていなかったせいか、胃袋がさらに喚いてさっさとよこせと主張する。
私も、目の前の欲求に耐え切れず、一口それを口に運んだ。
美味しい……。
温かくて、優しい味。
久しぶりに温かいご飯を食べた。