「はぁっ、はぁっ……」 どれくらい走っただろうか。 きっと、そんなに離れられてはいなかったと思う。 ただもう、安堵と空腹と疲れに、私は塀にもたれるように倒れた。 それと同時に、急激に襲ってくる眠気。 あ、死ぬんだな。 すでに痛みすらなくなった傷口からは、未だ血が流れている。 もう、いいや……。 狭まる視界に諦め、目を閉じようとしたとき、人の影が見えた。