そう思っていた矢先、突然大きな音がした。
「妃彩っ」
いきなり開いた扉から出て来たのは、お兄ちゃんだった。
私を抱きかかえて、水を口に当ててくるから、小さくそれを飲み下す。
「よかった、生きてて……」
安堵したかのように肩を下げるお兄ちゃん。
「お……にいちゃ……」
言葉を発するのも忘れてしまいそうだったから、思わずたどたどしい形になる。