あんなに、あんなに憎くて仕方なかった汐弥。
最期の時もそんなことを言っていた。
私が、私がお兄ちゃんをそうさせていたんだ。
不幸だなんて……一番不幸だったのは、汐弥じゃんっ。
嫌われ者を演じ続けて、結局いなくなっちゃうなんて……。
いや、私が殺してしまったんだ。
私のせいなのに、私が……!
「泣くなよ、報われねぇぞ。お前の兄貴が」
うつむく私の頭に置かれた、優しくて温かい手。
低くて穏やかな声は、修人のもので。
慰めてもらっているんだ。