頭を深く下げ、謝罪する。
そんなの意味ないってことも、全然足りないこともわかってる。
こんなことが償罪だとも思わない。
彼女の自由と、何よりも家族との時間を奪ったことには、一生を使っても償い切れない。
「や、やめてください。私は、別に恨んだりとかそういうの、してないですから」
「え?」
その言葉に、思わず間抜けな声を出してしまう。
「汐弥さん、一度だって酷いことはしなかったんです。ただ毎日話し相手になってくれるだけでいいって。いつだって優しかったんです」