そう、お察しの通り、倖の兄、先生だ。
「ゆっち?」
彼が懐かしい者だといち早く気付いたのは、意外にも翔で、驚きに目を見開いていた。
先生は昔、雛菊にいたから。
「ご無沙汰してました」
そんな翔を含めた鬼龍に、頭を下げる。
一番若かった組の者だったから、先生はよく私たちのお守りをしていた。
というか、単なる目つけなんだけどね。
「そういえば、ゆっちをあの日から見なくなったよね。どこ行ってたのさ」
心葉の問いに、先生は少しだけ申し訳なさそうに眉を八の字にして言った。