謝らないといけないのに、なかなか言葉が出ず、思わず下を向いてしまう。
彼女は私の兄、汐弥にとらわれていた人。
私は汐弥の妹。確実に恨まれている。
「早かったね」
蒼の声で我に帰る。
それに返事はなんとか返せるも、ぎこちない笑みしか作れない。
「鬼龍……ちゃんと会って話すのはこれが初めてだな」
そっか、本家で会ってるんだよね。
いや、会ってるというよりか、居合わせたってのが正しいんだろうけど。