睨んでくる彼女の瞳は塗り潰されたかのように真っ黒で、何もかもを拒絶するような瞳だった。
「ねぇ、食べないの?」
部屋の真ん中に置かれた手のつけられていないお膳を見て、綾が訊いた。
けれど、何の反応を示さずに、ただ睨み続ける。
「ねぇ、名前は?」
彼女の目の前に座り、訊いてみるも、反応なんてしてくれるわけがなかった。
唇を固く結び、一切喋る昨日はないらしい。
「俺は心葉、心の葉っぱで心葉。よろしく」
俺も彼女の前に座り、笑って話しかけるも、ことごとく無視される。