少し罪悪感に苛まれるが、棗……妃彩のお願いだから仕方ない。
僕の演技に気付くことなく、三人は一部始終を話してくれて、泣きそうな顔をしていた。
妃彩、早く帰って来て。
みんな、寂しいんだ。妃彩がいないと。
僕は君が生きているのを知っているからいくらか楽だけど、みんなはすごく辛そうなんだ。
待っているから、早く帰って来て……。
僕は三人の話を聞きながら、医者が来るまで、ずっと心の中で願っていた。

            翔side end