感傷に浸っていると、ガラリと扉が開いた。
そこには、傷だらけの女の子がいて、驚愕に目を見開いたかと思うと、涙を溜めて、微笑んだ。
「久しぶり、翔」
少しかすれてしまった声は、聞き馴染みのある棗の声にかわりなかった。
喋るのに、酸素マスクが邪魔だな。
なんとか右手だけ動かしてそれを取り、空気を吸い込むと、薬品特有の香りが鼻をつく。
「棗、約束を守ってくれてありがとう」
そう言うと、涙をこぼしながら何度も頷く棗。