「なあ、妃彩のお嬢」
胸が苦しくなった。
迷惑をかけてしまうとわかっていながらすがってしまった後悔に、舌打ちをしたくなる。
「いつ気付いたんですか?」
「最初から……なんてことはないが、本家が代替わりして、娘を探していると小耳に挟んでな」
変わらない、優しい目で語りかける樹彦さん。
「気付かれたんですね、汐弥に」
「ああ」
短い返答に潮時だと、諦めるのは案外早かった。
これ以上、危ない目に合わせたくはない。