「じゃあなに?」
「家族の名前知らないなんておかしいじゃん」
腕を組む、樹彦さんの息子の右隣の男の子。
偉そうで、むかつく。
「別に。……私は家族なんて、」
「俺は綾。“あや”って漢字の“りょう”。よろしく」
「僕、紘。いとへんに広いに似てるやつ……」
「心葉。心の葉っぱで心葉だ」
私の言葉を遮って、自分の名前をわざわざ補足までつけて言う。
ご丁寧にどうも、なんて思わない。
正直覚える気はさらさらない。
「家族の名前知らないなんておかしいじゃん」
腕を組む、樹彦さんの息子の右隣の男の子。
偉そうで、むかつく。
「別に。……私は家族なんて、」
「俺は綾。“あや”って漢字の“りょう”。よろしく」
「僕、紘。いとへんに広いに似てるやつ……」
「心葉。心の葉っぱで心葉だ」
私の言葉を遮って、自分の名前をわざわざ補足までつけて言う。
ご丁寧にどうも、なんて思わない。
正直覚える気はさらさらない。

