「そんなことより、美織。忘れてたでしょ」 「何を?」 結衣に聞き返す。 「今日、4人で登校しようねって言ってたじゃない」 「あ、忘れてた」 お兄ちゃんと登校できる喜びで、ふたりのことをすっかり忘れていた。 わたしたちはみな家が近い。 洸太の家なんてうちのとなりだし、結衣の家は道路を隔ててはす向かいだ。 小さなころから家族のように育った。 一緒にご飯を食べたり、お昼寝したり。