「先にケンカ売ってきたのは洸太だもん」 お兄ちゃんの腕にしがみつく。 「バーカ、バーカ、洸太」 「ガキかよ」 あ、笑った。 この笑顔にはいつも負けてしまう。 わたしたち幼なじみにしか見せない素顔。 「洸太、いつも笑ってればきっとモテるのに」 お兄ちゃんと手をつなぎなおしながら言う。 「別にもてたいとか思ってないから」 「ふーん」 もったいない。 まあ、お兄ちゃんには負けるけどね。