「お兄ちゃん、手つなごっ」 「ええ~?もう高校生だろ?」 お兄ちゃんがこっちを向いて笑った。 「いいのっ」 わたしは強引にお兄ちゃんの左手を取って握りしめた。 「しょうがないなぁ」 その言葉に怒りやバカにしている調子がないのに安心する。 こんな優しいお兄ちゃんが大好きだ。 お兄ちゃんの大きくて温かな手。 わたしだけの手。 わたしだけのお兄ちゃん。 「……美織」