わたしたちは、この街にびとつしかないファミレスに向かった。
さっそくお兄ちゃんを問い詰める。
「お兄ちゃん、理香子先輩が言ってたあの件ってなによ」
「ああ」
と私を見て微笑むお兄ちゃん。
わたしたちの手はつながれている。
「合宿のことだよ。美織も知ってるだろ?夏休みの始めの」
「合宿…去年、おととしとお兄ちゃんが参加してた」
「そうそう、今年は美織も一緒だね」
正直、星よりも、お兄ちゃんと一緒に合宿に行けるのが嬉しくて、頬が緩んでしまった。
「悠兄、合宿ってどこでやるの?」
結衣が後ろから尋ねてきた。
「町はずれの天文台だよ。川のそばの」
ああ、と結衣がうなずく。
さらさらのボブヘアーが風に揺れる。

