「美織ちゃん、黒いオーラが出てるよー」
矢野先輩が、わたしの顔を覗き込む。
近いってば。
「やきもち?お兄ちゃんとられちゃうーって?」
わたしの肘が矢野先輩のみぞおちに入った。
「ぐえっ」
妙な声をあげて、矢野先輩は体をふたつに折る。
「いたいよー、美織ちゃん、ひどい」
気が立っているわたしを刺激するからです。
と心の中で言う。
やきもちなんてばれたら悔しいもん。
「お兄ちゃん?あなた、悠人の妹さん?」
「……はい」
「いつも聞いてるわよ~。可愛い妹がいるって」
にっこりと笑いながらわたしに話しかけてくる。

