君がメガネを外す時






お兄ちゃんは頼りになる。


わたしが困っているときはいつも助けてくれる。



「お、理香子」


後ろのドアから入ってきた人に、矢野先輩が声をかける。


「矢野っち、今日は早いじゃん」



綺麗な人だ。


長いロングヘアーを揺らしてこちらに歩いてくる。


「はじめまして、入部希望?」


近くで見るとますます綺麗。色白の肌に、さくらんぼいろの唇。

「はい」

結衣が返事をする。


「3人も?よかったわね、悠人」




悠人。




このひと、お兄ちゃんの名前を呼び捨てにした。



心の中が真っ黒になって、思わず睨んでしまう。


「わたしは3年の岡部理香子、よろしくね」


微笑むと花が咲いたみたいにあたりが華やかになる。




お兄ちゃん、この人だれよ。