「3人ともここに名前書いて」
お兄ちゃんが名簿を出してきた。
お兄ちゃんは天文部の部長。
昔から星が大好きで、よくふたりで星を見に行ったりした。
お兄ちゃんの部屋には望遠鏡もあって、そこでもよく星を見せてもらった。
名簿に名前を書いていると、いつの間にか矢野先輩がわたしの横に座って、それを見ていた。
近い。
「悠人のことがそんなに好きなの?」
「悪いですか?」
憮然とした声になってしまう。
「俺のほうがいけてると思わない?つきあっちゃう?」
先輩が肩に手をまわしてくる。
ちょっと、うざいんですけど、と言おうとしたら、肩から手が外された。
見るとそこには洸太が立っていて。
「先輩、こいつに触るとバカがうつりますよ」
先輩は一瞬目を丸くしたけど、そのあとくっくっくっと笑った。
「バカなんだ?」

