「天文部の部室?」
「はい、迷っちゃって」
その男の人はにっこりわらうと、わたしの肩をポンポンと叩く。
「ちょうど俺も行くところだから、ついてきなよ」
よかったー。
「結衣ー、洸太ー!この人が連れて行ってくれるって」
ふたりが走ってくる。
「ありがとうございます」
結衣が男の人に向かってそう言った。
洸太はなぜか機嫌が悪そうな顔をしている。
「いやいや、いいよ。君は何ちゃん?」
わたしに名前を聞いているらしい。
「根岸美織です」
「美織ちゃんかあ、かわいいねー。俺はね、矢野先輩だよ。よろしくね」
「は?」
「天文部に入部希望じゃないの?俺、副部長」
結衣と洸太も名前を名乗った。

