「ハハッ、不細工」
手を離しながら洸太が笑う。
「洸太のバカ!大っ…」
「『キライ』だろ?おまえってほんとわかりやすすぎ」
洸太の顔に仕返しをしようとしたけど、おでこを押さえられて、じたばたする。
洸太は昔はチビだったのに、いつのまにかわたしの背をこえてしまった。
手だって長くなって、おでこを押さえられると、わたしの手は洸太には届かない。
……なんか、むかつく!
キーッとなっていると、始業を告げるチャイムが鳴った。
「ほら、席に着くぞ」
洸太はわたしのおでこから手を離すと、席に向かった。
わたしは「根岸」で洸太は「野宮」だから、出席番号は前後だ。
先に座った洸太の前の席に、わたしも座る。
同時に先生が入ってくる。
今日は自己紹介と委員決めだそうだ。

