「おまえ、いつまでブラコンなんだよ」 洸太が歩く速度を落としながら聞いてくる。 「いつまでって、ずっとだよ」 「悠兄だって、美織につきあってたら、結婚もできないぜ」 結婚。 そうなんだ。 彼女ができないようにと目を光らせてきたけど、その先に続くのは結婚だ。 断固、阻止せねば。 お兄ちゃんを見上げると、いつもの顔で前を向いて歩いている。 わたしの視線に気づくと、「ん?」と微笑んだ。 「お兄ちゃん、大好き」 握った手に力を込めた。 今日2度目の結衣のためいきが、後ろから聞こえた。