「え?」
少女は驚いて視線を檻の中の声へとうつす。
声の主をとらえると、少女はその主に目を奪われた。
銀色の長い髪、切れ長な紅蓮の瞳、
えらく端正な顔立ちの男性だった。
しばらくの間、男性を見つめたまま、ぼぅとしていると
「聞こえてるでしょう、答えないつもりですか?」
という少し不機嫌そうな声で我に返る。
「あ、すいません、私出口を探していて…」
少女は慌てて少し早口で答えた。
「出口ですか、それならこことは真逆の方向にありますよ。私が入っているこの牢は、この建物の最深部ですから。」
やけに丁寧な口調で、残酷な事実を告げられる。
「え!?そんな…」
言いようもない絶望感にとらわれていると、
「まぁでも、出口の場所を知ったところで、あなたに脱獄することはできないでしょうね」
「脱獄って… どうして私が脱獄犯だってわかるの?」