言葉は通じなくても文句を言われているときは不思議と分かるものだ。
「ドレスきついし、どうせまた着替えるなら先に脱いでおいたほうが効率がいいいと思ったからよっ」
カーテン越しに怒ってる人に言ってやる。
でも怒りが通り過ぎると今度は猛烈な羞恥が襲ってくる。ブラ紐丸見えってだけでも恥ずかしかったのに、ほぼ初対面みたいなひとにアクシデントとはいえ下着姿を見られたのだ。
しかも今日つけてるのはよりにもよって中学生のときからつけてるプチプラで買ったブラで、ワイヤーがややゆがみかけてて痛んできたやつだ。
お気に入りのだったら見られてもよかったってわけでもないけれど、よりにもよってそろそろもう処分しようと思っていたすこし色褪せたピンク色だなんて格好悪すぎ。
もう死にたい。和泉くんの目なんて腐ってしまえ。
「衣装をお持ちしました。間からお渡ししてもよろしいでしょうか?」
「はっはい」
膝を抱えて落ちきっていると、カーテンの隙間から新しいドレスを差し込まれた。
受け取ったそれはパフスリーブスで胸元は浅いVカットのワンピースドレスだった。ウエストが絞られたスレンダーなラインだったけれど、着てみると意外とその体に寄り添うフィット感が心地いい。
若葉みたいな瑞々しい色もシンプルなデザインにマッチしていてすごくきれいだ。