『ここに持ってきた服のサイズは?』
『日本のサイズで7号のものです』
『悪いけれどもうワンサイズ大きいものを持ってきてもらえますか』
『まあ。見立て違い、失礼致しました』
『いや、彼女はウエストや腰周りはこのサイズでも合いそうなんだけれど、どうも着痩せするタイプみたいで。……だから、その。このサイズだと、着れないこともないけれど息苦しそうというか……』
『みなまでおっしゃらずとも結構ですよ、事情は承知いたしました』
『……有難いです。サイズは大きくなってかまわないけれど、あくまできつそうなのはお察しいただいたところなので、出来るだけウエスト周りはタイトなデザインになるようにお願いします』
『そうですわね。それではフィット感のあるラインのものをいくつか』
『あと肩やデコルテがあまりオープンにならないものを……』
『ああ。それも承知いたしましたわ。インナーが隠れるよう配慮したものをお持ちします』
「失礼致します」
はじめに出迎えてくれた中年のスタッフさんが「着ていらしたお洋服を預からせていただきますね。クリーニングに回すようにとのご指示ですので」と告げてわたしが固辞する前にさっさと籠ごと持って出て行ってしまう。
しばらくしてまたカーテンが開かれる。試着室のわたしと目が合うと、和泉くんはさっきよりもさらに磨きの掛かった速攻でカーテンを引いた。
『……なんで下着姿でいるんだッ!』
「か、勝手に開けたのはそっちなのにっなんで文句言われなくちゃいけないのよっ!」