『……おい。オレ今おまえに本気でむかついたぞ。広海ってば変なとこで頑固だよな。撤回する気も自分に正直になって選び直す気もないわけ?』

表情を変えない高大に、渋谷くんはすごく物言いたげな沈黙の後。大げさにため息を吐くといかにもつまらなそうに言った。

『やれやれ。……じゃあ、もうそれでいいや。残念だけど今日は上野さんってことにしといてやるよ。とりあえず上野さんおめでとーってことで。その他の女子のみなさんはよかったね、しばらくこの頑固頭はフリーでいる気みたいだよ」


女の子たちからはまたうれしそうな声が上がる。


『女子のみなさんにはむしろこの結果喜んでもらえてみたいだけどさ。……はぁまったく。折角のオレらの厚い友情を無下にしやがって。じゃあ広海、もう今晩オレと泊まるか、このオレとふたりきりで熱い一夜をさぁー。絶対やだけど』

投げやりに渋谷くんが言うと、途端に沈黙で冷え切っていた会場に爆笑が起きる。遠巻きから笑いに混じって揶揄する声が聞こえてきた。