ダメ……かな?
そう思ったが違った。
「しょうがないなぁー、私が書いてあげる!」
『ありがと』
腕まくりをした明里は、指でTシャツに下書きをするかのように何度も何度も俺の名前をなぞった…
"ひぃ"じゃなく、hiiroと何度も…―
それだけで嬉しいけど、"ひぃ"って呼ぶのも明里しかいない。
「小さい頃からずっと、ひぃだったから緋色って慣れないね」
『でも、明里だけしかひぃって呼ばないから、すぐ明里だってわかるよ』
本当は呼び方じゃなく、声だけでわかるに決まってる。
だって、大好きな声だから。
「なんか特別みたいな感じで良いよね♪」
明里はそう言って俺の目を見た。
そんなの…
『なら特別になってよ』
小さな小さな声で呟いた。

