コウも俺の後を付いて来る癖に、手伝う気はまるでないらしい。
「手伝わないならついてくんな」
「お前の部屋いんの寂しい」
コウは口を尖らせる。
「…気持ち悪い」
俺は思わず顔に出る。
いや…にじみ出た。
一人で居るのが何が寂しいだよ。
「…時雨はずっと一人だもんなー。寂しくねーの?」
コウは俺の後をただただついて歩く。
「うーん。何とも思わない。それが当たり前だし。親父は金だけ送ってくれるから一応生活はできてる」
そう親父は海外。
だから毎月のようにお金を送ってくれるんだ。
ローンは返し終えてるし、生活費の割りには多すぎる。
お小遣いも兼ねてなんだろうけど。
高い。
しかも俺はバイトもしてるし…。
少し親父がどんな生活をしているのか気になる。
俺はもう慣れっこになったが、寂しくないのか?
ちゃんと朝昼晩、飯はくってるのか。
ちゃんと向こうで生きてるか。
…まぁ、それは当たり前か。
病気にはなってないか。
たまにメールはする。
でもそれは思ったような変哲もない返信。
質問しても【大丈夫】、【了解】それくらいだ。
だから、俺も最近…一年はもう連絡をとっていない。
「親父さん、元気か?」
「元気なんじゃない?」

