秒速1センチ

そして、私は彼に逆らえない、容姿がとっても可愛いのである。小型犬のような容姿で意外と社内で人気がある一人なのである。それにあの黒々として目で見られると何とも自分の心中を察している様な気がしてならない。

だからこそ私は小春くんが大嫌いである。お近づきにもなりたくないタイプの人間であるが、もはやどうにもなるまい、私は残りのコーヒーを飲み込み家を後にし、マンションの階段をカツカツと降りて行く。

丁度、マンションから出て数秒歩いた駐車場に彼の車を発見し駆け寄る。そこにいつものように小型犬ならぬ小春くんが運転席に座っていた。小型犬とは言ったものの彼の体躯はかなり大きい、身長は180cmくらいだろうか?痩せ型だが車の中では窮屈に見える。

助手席を開けとりあえず彼には本日二度目の社交辞令の挨拶をしておく事にした。